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芦野石について 櫛田豊と千体地蔵 教伝地蔵伝説 千体地蔵始まる 櫛田豊という人 九尾の狐伝説 位置関係


千体地蔵始まる

  ことの発端


 昭和50年頃のことです。

 地元である那須湯本の旅館組合の人たちの間から、

 首ももげ、形も定かではなくなった教伝地蔵を

 新たに建立し直してはどうか、

 という話が持ち上がったそうです

櫛田豊登場


この依頼を受けたのが、

那須町芦野の石工櫛田豊でした。

当時まだ40代の男盛りだった櫛田は

「よしッ。そういうことならオレが引き受けよう」

ということで、二つ返事で引き受けたのでした。

(右の画像は当時のものではありません)
新たな建立


手前が、この時櫛田豊によって制作された新しい地蔵。
右奥が享保年間の銘がある古い地蔵尊です。


櫛田豊は、まず新しい「教伝地蔵」を制作。
そのあと古い方の地蔵尊の首を新たに作り、
修復を行ったそうです。

この時、脇地蔵として二対の小地蔵を寄進しました。
これが今日に至る千体地蔵建立の
きっかけとなる出来事となったのでした。

   ■思わぬ展開 その1

  さて、そうして昭和時代に新たに建立された
  教伝地蔵ですが、その集まりの席でのこと。
  「寄り添っているあの脇地蔵。あれはサイズとしても
  なかなかいいから、あれをもっと作って、
  千体になるまで、みんなで寄進してみてはどうか」
  という話が持ち上がりました。

  当時旅館組合の組合長をしていた
  清水屋旅館の室井平七氏(故人)が
  この話に熱心だったそうです。
  「それはいいアイディア」ということで、
  この時、第一期の地蔵寄進が始まったのでした。

  こうして始まった地蔵の寄進。
  昭和53年6月には、27〜8体まで出来、碑も建ちました。
  ところが、思わぬ事態が…。
 ■思わぬ展開 その2   国からの「待った」が


人々の熱意に支えられて
順調にスタートした「千体地蔵」ですが、
突然、思いがけぬ「待った」がかかりました。

「待った」をかけたのは、なんと「国」でした。
もともと殺生石周辺自体が「国立公園」の中にあります。
新規に構造物を設置するときには、許可が必要な地域です。
まして現場は芭蕉の奥の細道でも有名な域内です。
そこへ新たに地蔵を建立してしまった、ということで、
『認めない』という、国の指導が下ったのでした。

やむなく千体地蔵は一時現場から撤去され、
別の場所に保管されることになりました。
  ■熱意が実を結ぶ


 せっかく始まった千体地蔵ですが、
 一時完全に頓挫してしまったのでした。
 しかし町の有志の熱心な働きかけや県の助力もあって
 三年後、正式に国から設置の許可が下りました。
 昭和56年(1981年)のことです。

 こうして千体地蔵は
 晴れて再スタートを切ることが出来たのでした。
 ■ふた通りある開始年

 千体地蔵はいつ始まったのでしょうか?
 現在二通りの紹介がされています。
 ひとつは現地の碑文に記されている「昭和53(1978)年」。
 もうひとつは「昭和56(1981)年」です。
 どちらが正しいのでしょう?
 結論をいうと、どちらも正しいのです。

 昭和53(1978)年は、旅館組合や地元有志の方たちの発案で
 教伝地蔵が修復され、
 周辺の整備がいったん出来上がった年です。(第一期)

 昭和56(1981)年は、国の許可が下り一時撤去されていた
 千体地蔵が元の場所に戻り、正式に認知された年です。
                               (第二期)
 ←現地石碑は昭和五十三年(1978年)になっています。

以上が千体地蔵建立のいきさつです

  ■彫りあがったばかりの千体地


 櫛田氏が彫り上げたばかりの千体地蔵です。

 作業中は常に水をかけて湿らせているので

  (その方が作業しやすいのだそうです)

 グレーがかって見えます。

 乾いた芦野石はもっと白味をおびています。


 芦野石は素材としてはやわらかい石なので

 面相など細部を彫るときには、ノミを軽くあててゆきます。

 チョウナ(ハンマーのかたちをしたもの)は

 大きく削るときに用います。





心の風景
〜那須の千体地蔵〜



30有余年の歳月をかけて並んだ


800余体のお地蔵さんです



一体一体、そのすべてが


櫛田豊の手仕事によって


作られました
平安の願いを込めて

今日も心優しく

旅人を迎えてくれています


那須をご訪問の際は

みなさんもぜひ現地を

お訪ね下さい


 
位置関係

千体地蔵についてのお問い合わせは、0287-76-2619 「那須観光協会」
または下記の友愛の森工芸館内「那須町工芸振興会」まで。
ちなみに平成26年現在の制作費は、一体3万5千円です。

 櫛田豊という人へ


以上は櫛田豊氏本人から聞き書きしたものです。しかしなにぶん、30有余年前の事です。
氏の記憶にもあいまいなところがあります。聞き手が誤記している部分もあるかもしれません。
新しい事実が分かり次第、加筆訂正することにいたします。
                                                     文責戸村 裕


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